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1998年12月 世界人権宣言50周年メッセージ

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(1998/12/07 ダラムサラ)

私は、世界人権宣言採択・署名50周年を世界規模で記念することを知り、大変勇気づけられました。また、国連人権高等弁務官事務所が、一般の人々がその権利を十分理解するよう世界人権宣言を世界中で調査、普及を目指していることを知り、とても喜んでおります。

人権は普遍的な重要性を持っております。なぜなら、自由、平等、尊厳に憧れることは、全ての人間本来の性質であり、またそれらを持つ権利があるのです。好むと好まざるに関わらず、私たちは、ひとつの偉大なる人類の家族の1員としてこの世に生まれてきたのです。裕福である人も貧乏な人も、教育を受けた人もそうでない人も、なんらかの国家・宗教に属している人もそうでない人も、このイデオロギーに参同している人もそうでない人も、結局、私たちそれぞれは他の人と全く同じ人間だということです。私たちは、皆幸福を望んでおり、苦しみを欲していません。

いくつかの政府は、世界人権宣言における人権の標準となるものが西欧社会で支持されたもので、文化・社会・経済発展に隔たりがあるアジアや第3世界には通用しない、と主張しました。私は、この見解に賛同しておりません。大半の人たちも賛同していないと確信しております。私は、世界人権宣言における根本原理が全ての人々や各国政府が従うべき自然法であると信じております。

私は、チベットあるいは世界の他の地域かどうかに関わらず、人権侵害に関心が広まっていることに励まされております。人々はどこでも、人権の偉大な重要性や価値を認識するようになりました。多くの苦しんでいる人々に救いの希望を与えるだけでなく、それは人類の進歩及び開発の指標となるものなのです。人権侵害に関心を持ち人権を守るため努力することは、今の世代とこれからの世代の人々両方に大変役に立つことだと感じております。

もうすぐ21世紀を迎えようとして、私たちは世界が1つの地球規模の家族になりつつあることがわかってきました。科学や即座に情報入手を可能にしてくれるテクノロジーの目覚ましい進歩があり、この地球上での私たちの存在を脅かしかねない人口過密や枯渇している天然資源、また環境破壊が重要かつ共通問題として出てきています。人権、環境保全、社会面・経済面における平等は、全て相互に関係があるのです。これら全ての問題において、私は、普遍的な意味が人類の存亡と進歩の鍵をにぎると信じています。それはまた、世界平和、人権の促進、非暴力政策、そして紛争を解決する対話の最良の基盤となりえるものなのです。

最後にここで、世界のあらゆるところで人権を擁護している方々に深い感銘と尊敬の意を表したいと思います。これらの方々は、人権虐待を文書化し緩和するため運動しており、本当に重要な人々なのです。私は、人権運動や活動が精神修養実践の1つだと見なしております。人種、宗教、民族、イデオロギーの違いで迫害されている人々を守ることにより、実際に人類を平和、正義、尊厳へと導くことに貢献しているのです。